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展覧会

秋期展
新館開館一周年記念 「数寄者」の現代―即翁と杉本博司、その伝統と創造
令和7年10月4日(土)~12月14日(日)

秋季展のオンラインチケットの販売開始日につきましては、9月30日(火)正午(12時)からを予定しております。オンラインチケットの詳細はこちらのお知らせをご確認くださいませ。


 当館コレクションと現代美術作家 杉本博司の作品およびそのコレクションで構成する本展は、日本の文化と美術を換骨奪胎し、その中に新しい光を差し入れる、そのような杉本博司の新作を含めた作品と当館のコレクションとのセッションをとおして、数寄の精神と茶の美とは何か?を問う試みになります。
 新館の基本設計を担当した新素材研究所を主宰する杉本博司が、その設計空間の趣旨を生かし、新空間に相応しい新作品およびそのコレクションを世界の美術館関係者および美術愛好者に向けて発信する機会となることも期待しています。
 当館の創設者、即翁 畠山一清は近代数寄者の最後世代にあたり、晩年には自身の茶道具コレクションを最高の状態で皆とともに鑑賞する「場」にこだわり、当美術館の本館を構想しました。そこに貫かれた姿勢や込められた想いと、現代の「数寄者」とも呼ぶべき 杉本博司の芸術をとおして数寄の在りかを探る機会にしたいと思います。

現代に「数寄」は可能か?  杉本博司
その昔、利休の頃、茶室は囲うと言われた。造るのではない。簡素な材で場を囲い、雨露を凌ぐ屋根を架ける、侘び茶の精神だ。私はこの荏原 畠山美術館新館を、設計者として大きなコンクリートの壁で囲った。現代の茶室と思いなして。
 この囲いの中で私の集め、また作った茶道具を披露することになった。こんな作家冥利に尽きることはない。自画自賛だ。

 

杉本博司
(1948~)東京生まれ。現代美術作家。ニューヨークおよび東京を活動の拠点とする。杉本博司の活動分野は、写真、彫刻、演劇、執筆、書、陶芸、和歌、料理と多岐に及ぶ。2013年フランス芸術文化勲章オフィシエ受勲。2017年文化功労者。2023年日本芸術院会員に選出。

即翁 畠山一清
(1881~1971)金沢市生まれ。能登畠山氏の後裔で先祖は七尾城主。ポンプ販売から製造を一手に担う荏原製作所を創業して発展させた実業家。一方で能楽と茶の湯を嗜み、即翁の号を持つ数寄者としても知られる。数多くの美術品を蒐集し、晩年には広く一般に公開することを意図して畠山記念館を設立した。


主  催 荏原 畠山美術館 
特別協力 公益財団法人小田原文化財団


 

前期:10月4日(土)―11月9日(日)

後期:11月12日(水)―12月14日(日)

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冬季展
【同時開催】 冬、そして春へ―「華やぎ」と「侘び」の調/圏外の眼―伊奈英次の写真世界
令和8年1月17日(土)~3月22日(日)

冬季展のオンラインチケットの販売開始日につきましては、決定次第、お知らせにてご案内いたします。


2026年冬季展として、以下の2展を同時開催いたします

◆【本館・新館2階】 
 《畠山コレクション展》 冬、そして春へ―「華やぎ」と「侘(わ)び」の調(しらべ)

◆【新館地下1階】 
 圏外の眼―伊奈英次の写真世界

 

◇ 冬、そして春へ―「華やぎ」と「侘び」の調
本館および新館2階では、新春の幕開けを飾るにふさわしい、畠山コレクションの優品を厳選して公開いたします。
本展は、日本の伝統的な美意識に深く根ざす「華やぎ」と「侘び」の二つの極みを、季節の移ろいとともに辿ります。
前期展示では、年始めの慶びを寿(ことほ)ぎ、松竹梅、宝尽くしなどの吉祥の意匠に満ちた祝祭の美を主軸としつつ、作品の内に宿る研ぎ澄まされた静かな世界を提示します。
後期展示では、 2月から3月にかけて、春の兆しを感じさせる草花や鳥の作品とそこに込められた想いを深く掘り下げます。

◇圏外の眼―伊奈英次の写真世界
新館地下1階では、写真家・伊奈英次(1957~)の40年にわたる挑戦の軌跡を、美術館で初となる本格的な回顧展として展覧します。
伊奈氏は、都市の周縁や社会の構造を象徴する風景を、大型カメラによる重厚な写真で捉えてきました。私たちが日常、意識しにくい「圏外」への、眼差しこそ、特徴と言えるでしょう。本展では、初期の《In Tokyo》や産業廃棄物を物質美へと昇華させた《WASTE》、全天皇陵を踏破して撮影した《Emperor of Japan》など、主要シリーズを展示。デジタル画像を再構築した最近作《残滓の結晶》まで約100点の写真を展覧いたします。変わりゆく都市や郊外の風景をどのように見つめ、写真で表現してきたかをご紹介します。

 

【略歴】
伊奈英次(いな・えいじ)
1957年愛知県名古屋市生まれ。東京綜合写真専門学校研究科卒業。
1980年代より都市空間や歴史的記憶を主題に作品を発表し続け、国内外で高い評価を受ける。代表作に《In Tokyo》《ZONE》《WASTE》《Emperor of Japan》《残滓の結晶》など。
東京国立近代美術館、東京都写真美術館、フランス国立図書館、サンフランシスコ近代美術館などに作品が収蔵されている。現在、東京綜合写真専門学校理事長・校長。

 

主催:荏原 畠山美術館   
協力:東京綜合写真専門学校、ギャラリー・アートアンリミテッド

 

前期:1月17日(土)―2月15日(日)

後期:2月17日(火)―3月22日(日)

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